2013年9月29日日曜日

クスサン*色彩変異


   幼虫が大発生して木の葉を食い尽くしたり、巨大な成虫は灯火に沢山集まってヒトに嫌がられたりするクスさんであるが、今日はとても美しい個体に会った。

 全体に淡色系で上翅は落ち着いた色でまとめてある。そのせいもあり、かっと見開いた眼状紋が際立つ。眼の半分には青いアイラインがくっきり。頬紅のような淡いピンクの控えめ加減もいい。そして後翅の端を彩る柔らかいココアブラウン。一番濃い色をそこにもっていくのか・・・。もうこれは誰が見ても恐ろしい鳥の顔に見える、かな?


 蛾に惹かれるのは、たぶん翅が美しいから。神様の描いた不思議な幾何学模様に、趣ある中間色が多用された翅。(もちろん地味~な奴が多いのだけど・・・)蝶も蛾も同じ鱗翅目の仲間なのに、蛾の方は明らかに市民権を得ていない。そのアウトロー感もいい。


こちらは渋くまとめています。 撮影:2013-09-29

〈追加画像〉



2013年9月24日火曜日

マツムラナガハナアブ


 先日の日曜日は、どこへも出かけずうちでおとなしくしていた。午後になって荒れ果てた庭に出てみる。収穫されず赤くなったピーマン。巨大オクラは種をとってまた来年蒔いてみようか?伸びるだけ伸びた雑草はむしりやすい。そしてウドの大木は花をつけていた。


 そこにやって来た大きめのハナアブ。スズメバチに擬態している。羽音までそっくり。複眼を見てスズキナガハナアブだと思っていたが、あとからPCで画像を見ていてなんか違うような気がしてきた。胸部背面にハの字模様がなく、全体に黒ずんでいる。

 調べているうちに、同じような複眼を持つマツムラナガハナアブの存在を知る。よくわからないけれどうちの庭にようこそ!      撮影:2013-09-22


参考画像 ⇧こちらがスズキナガハナアブ(左右別個体)

2013年9月22日日曜日

ウスバツバメガ*成虫・幼虫・繭


ホタルガ亜科

 2013-09-18  ウスバツバメガ初見。やっぱり会えた!触角の様子から♂個体。
これまでも時々幼虫を見かけることがあったが、今年はやたら目についたので。

 鱗粉の少ないウスバシロチョウに似た翅。止まっている葉っぱを揺らしてもまるで動じない。優雅な貴婦人のよう。この日見つけた4個体はみんな♂だった。ふさふさした綺麗な眉毛のような触覚。



   幼虫初見。食樹はウメやサクラ類などバラ科。西日本に多い種と聞くが・・・。この個体はなぜかアカマツに一匹だけでいた。 ⇧撮影:2012-05-27



追記  2015年の初見。  撮影:2015-05-07


⇧左:2013-06-15 
 ウスバツバメガの繭と思われるもの。なんとクチブトカメムシの幼虫が! 

 中:2013-07-26 
 左と同じもの。何者かに捕食された様子。クチブトカメムシの食痕ではなさそう。

 右:2013-08-02 
 はらりと落ちていた葉っぱ。これも裏返すとしっかり食痕があった。


左:♀       中:♂(上)と♀(下)    右:交尾 
  
⇧撮影 2013-09-19

2013年9月15日日曜日

ヨツバヒヨドリとカメムシ幼虫 他 


 花が終わり、種が出来はじめたヨツバヒヨドリ(キク科)にいたカメムシの幼虫。穂の色とそっくりな赤紫にびっくり。ちなみにこの草は茎が赤いのと緑色のと2種類あるらしく、赤い茎の方が花の色が濃いとのこと。花の色に合わせてカメムシの方が変化するのだろうか?

〈よく似た3種の葉っぱの違い〉

       フジバカマ:   葉は3つに深く裂けている
       ヒヨドリバナ:  葉は裂けておらず対生する
        ヨツバヒヨドリ: 葉が3~5枚輪生する


⇧エゾアオカメムシの幼虫に、ちょっと雰囲気が似ている。


  ⇧ヤナギラン(アカバナ科)の鞘にいたアムールシロヘリナガカメムシ。


〈ヤナギランの種子〉

 細い棒のような鞘が弾けると、長い毛のついた種子が手品のように出現。

撮影:2013-09-14

2013年9月7日土曜日

クロシデムシと白骨


シデムシ科

   2週間ほど前のこと。朝の散策の時、あまり入らない場所にちょっと入ってみた。前方に何か異様なものが見える。哺乳類の死骸?タヌキくらいの大きさ。でもすでに毛がないように見える。足が止まる。腐乱死体、という状態か?その腐りかけた体には、何か虫がいっぱいたかっている。ベッコウヒラタシデムシの赤い胸部が遠目にチラチラ見える。(あの虫は前にどこかで撮ったことあるからいいや・・・)自分で自分に言い訳してその場から逃げた。

 そして今日、勇気を出してその現場がその後どうなったか見に行った。確かこの辺・・・と思われる場所に屍らしきものは見当たらない。そこだけ草が生えてなくて、地面がうねうねと蠢いている。肉体は虫たちによって埋葬され、その作業は土中でまだ続いているようだ。よく見ると、そばに転がっている白い石に見えたものは頭蓋骨。細かい骨も土の中に見え隠れ。一片の肉もついていないきれいな骨だった。こうして生き物は土に還ってゆくのか・・・。分解者たちの確かな仕事ぶりに敬意を払う。

 ベッコウヒラタシデムシやマエモンシデムシ等が時々土の中から出てきて、外の空気を吸っている(ように見える)。他にオオヒラタシデムシではない黒い大きな甲虫がいた(写真上)。後で調べてみたら、シデムシ類最大のクロシデムシだった。初見。 
 撮影:2013-09-07 


追加画像


⇧2013-11-11


          ⇧2014-01-15   

2013年9月6日金曜日

クスサンの翅 他


   9月に入って、朝電灯の下にクスサンの翅が落ちているのを見かける。何者かの襲われた様子。そういう季節なんだな・・・と思う。

 今日は常夜灯にボロボロの色あせた♀がいた。撮影しやすい場所に移動させようとしたら、地面に落ちて翅をぶるぶる震わせ始めた。でもこんなにくたびれた様子じゃ飛べないだろうなと見守っていたら難なく離陸。やっぱり大きい! 
2013-09-06



↑ 2013-08-17  ヤママユは8月中旬頃から見られた。


前翅比較:クスサン・ヤママユ・シンジュサン・オオミズアオ

(いずれも朝、電柱の電灯下で拾ったもの)

2013年9月4日水曜日

何かと不思議なヒゲナガガの幼虫


    常夜灯の直角面をミノムシのようなものがゆっくり登っていた。よく見るとミノムシではなくヒゲナガガの仲間の幼虫らしい。ちょっと前(と言っても一ヶ月前)にも同じ常夜灯で同じものをみつけた。暗くて撮影しにくい場所だったので枯葉にのせて明るい場所に移動。

 しかし中に潜り込んだ幼虫はなかなか顔を見せてくれない。そのままにして散策を続けて帰り際に見てみると、幼虫はケースごといなくなっていた。今回も同様に葉っぱにのせておき、2時間後くらいに通りかかると、不思議なことに葉っぱはないのに幼虫ケースはその場にころがっていた。 


   覗き込むと間もなく幼虫が顔を出してくれた。でも臆病なのかすぐ引っ込む。
隙間にピントを合わせて待ち構えていると、なんと向こう側から顔を出した!中でUターンできるんだ・・・。


 顔を出してきょろきょろしていたかと思うとぐっとケースを引きずって移動。ほんの少し。Uターンできるほど中はガボガボなのに、どこにひっかけてケースを動かしているのだろう?大体こんなケースをひっかけてよく直角面を登って行けるもんだと感心。

 ↑撮影 2013-09-02


2013-06-11 に見かけたヒガナガガの仲間たち、2種。(成虫)

左:ホソフタオビヒゲナガ    右:ウスベニヒゲナガ?